パティシエは、経験を重ねてスキルを磨き続けることでキャリアアップを目指せる職種です。「パティシエになりたい」「製菓系の専門学校に進学したい」という考えから、パティシエの給料を知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、パティシエの年収を解説します。年収を上げるために必要なことも紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
■パティシエの年収
まずは、パティシエの年収を解説します。
・パティシエの平均初任給
パティシエの平均初任給は20万円前後といわれており、ほかの業種とほぼ同等です。未経験で就職する場合は15万円を切る場合もあり、年収が比較的高い職場でも初任給が20万円を超えるケースは少ない傾向があります。しかし、パティシエは実力重視の業界なので、スキルや技術が認められれば、待遇のよい企業への転職やキャリアアップも可能です。初任給の金額に左右されず、お菓子作りに情熱を注ぎ続けることが大切だといえるでしょう。
・パティシエの平均年収
パティシエの平均年収は、200~400万円といわれています。厚生労働省の2019年賃金構造基本統計調査によると、企業規模が10人以上の会社に分類されるパティシエの平均年収は約340万円で、そのうち年間賞与は約39万円です。また、パティシエの年収は年齢とともに上昇し、40~50歳代で独立する人も多く、知名度のあるパティシエは年収が1,000万円を超える場合もあります。
・パティシエの年収が低いと思われてしまう理由
<仕事内容的にコストがかかる>
洋菓子の製造・販売は、店舗の家賃や水道光熱費、材料費などのコストがかかります。特に、夏場は食材の鮮度を保つために必要な電気代がかさみやすく、想定よりも大きなランニングコストが発生する可能性もあります。また、近年の継続的な原材料の高騰はパティシエの収入低下にも影響を与えていると考えられており、競争の激しい地域ではケーキの廃棄にもコストがかかる場合もあるようです。
<修業期間がある>
パティシエは、就職後も経験やスキルを磨き続けなければならず、専門的な技術を習得するのに3~5年の修行期間が必要だといわれています。特に、新人パティシエはまず洗い物や片付け、計量、清掃などから担当するので、思うような働き方ができず、業務に不満を感じるかもしれません。また、修行期間中は業務後の自主練習も重要ですが、給料が安く設定されている場合が多く、年収と仕事内容が釣り合っていないと感じてしまう人もいます。
<会社のような分かりやすい昇進が少ない>
パティシエは、会社員のような分かりやすい昇進が少ない傾向があります。パティシエの役職には、シェフ・パティシエ(料理長)のほかにスー・シェフ(副料理長)やシェフ・ド・パルティ(各部門の責任者)などがありますが、個人経営の店舗などで役職がオーナーパティシエに限定されている場合は、長年働いても給料が上がりにくいケースもあるようです。しかし、パティシエ業界で役職の明確な基準は決まっておらず、経験やスキルで役職を振り分ける場合もあるので、努力を惜しまずパティシエとしての実力を付けることが大切です。
■属性によってパティシエの年収は変わる?
ここからは、各属性のパティシエの年収を紹介します。
・所属企業の規模
パティシエは、所属企業の規模が大きくなるほど年収が増えやすい傾向があります。厚生労働省の2019年賃金構造基本統計調査によると、パティシエの所属企業規模別の平均年収は以下のとおりです。
● 10~99人:約284万円
● 100~999人:約332万円
● 1,000人以上:約367万円
また、パティシエは百貨店などで全国展開する洋菓子ブランドや大手企業で働くと、より高い年収を狙えます。シェフやチーフなどの役職を担当する場合は、年収500万円以上になることもあります。
・年齢・経験による違い
パティシエの年収は200万円台から始まり、年齢とともに上がる傾向があります。特に、20代後半から30代前半に年収が上昇しやすく、30~40代でピークを迎える場合が多いようです。また、パティシエの年収は50代になると緩やかに減少しますが、ホテルやレストランのシェフクラスになれば年収600~1,000万円になるケースもあります。海外進出やコンクールの優勝経験があれば、自身のスキルをアピールすることもできるため、年収アップにつながるでしょう。また、独立するとさらに年収が上がる可能性もありますが、責任が増えリスクを伴う点には注意が必要です。
・地域による違い
パティシエの年収は地域ごとに異なりますが、都市部の水準は比較的高い傾向があります。厚生労働省の2019年賃金構造基本統計調査によると、大阪府のパティシエの年収は421万円と全国でもっとも高く、東京都は416万円で2番目に多い水準です。ただし、都市部で働く場合は年収だけでなく、家賃や水道光熱費などの生活費も高くなりやすい点にご注意ください。
■パティシエで年収を上げるために必要なこと
ここからは、パティシエで年収を上げるために必要なことを説明します。
・努力を続ける
パティシエで年収を上げるためには、新たな技術を学び、専門的なスキルを磨き続ける努力が必要です。自身のスキルを客観的に証明したい場合は、専門資格の取得やコンペでの入賞に向けて努力を重ねるのもよいでしょう。シュガークラフトやデコレーションなど、専門性の高い技術を学べば、パティシエとして活躍できるチャンスも広がります。また、多くの人を喜ばせるお菓子を作るためには、知識やスキルを増やすだけでなく、海外文献を理解するための語学勉強も必要です。日頃から気になるレシピをノートにまとめ、ニュースやトレンドを把握しておくことで、時代の流れに合わせたお菓子の開発にも取り組めるでしょう。
・失敗を恐れない
パティシエで年収を上げるためには、失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢も大切です。新人時代は分からないことが多く、学校で教わった内容との違いや質問しづらい環境に悩み、失敗を重ねてしまうこともあるでしょう。しかし、失敗を恐れてばかりいると、成長や成功のチャンスを逃してしまうかもしれません。万が一失敗したとしても、次につなげる意識を持って行動できれば大丈夫です。失敗を恐れず果敢に挑戦し続け、パティシエで年収を上げる可能性を積極的に広げていきましょう。
・人と違うことをする
人と違うことをすると、パティシエとしての知名度が高まって年収を上げられるかもしれません。日本国内のパティシエ人口は約30万人といわれ、一般的な技術を習得しただけでは実力を発揮できずに埋もれてしまう可能性もあります。そのため、人と違うアイデアで多くの人に喜ばれるお菓子を開発することこそ、給料アップにつながる近道といえるでしょう。また、お菓子作りの新たなスタイルを確立できれば、待遇のよい企業からのヘッドハンティングや新たなオファーが舞い込む可能性もあります。常に新たなアイデアを模索して、ほかのパティシエとは違った角度からお菓子作りに挑戦する姿勢を持つことが大切です。
・独立やキャリアアップを目指す
パティシエとして独立やキャリアアップを目指せば、年収を平均よりも大幅に上げられる可能性があります。独立する場合は、お店のコンセプトやお菓子のアイデアを考えて、必要に応じてオンラインショップやパティシエ教室などの副業を検討することが大切です。ただし、独立には経営スキルや初期投資が必要なだけでなく、赤字や廃業のリスクを伴う可能性がある点にご注意ください。また、キャリアアップを希望する場合はコンクールへの参加やメディア出演、海外進出の機会を増やして、知名度の向上を目指すのもよいでしょう。パティシエとして有名になれば、レシピの開発や監修に携われる可能性もあります。
・人脈を広げる
業界関係者との人脈づくりは、パティシエで年収を上げるために重要です。特に、有名なパティシエや店舗とのコラボ企画ができれば、顧客の新規開拓や知名度の向上効果も期待できるでしょう。また、コンテストやパティシエのイベントに参加すれば、実力やスキルをアピールできるだけでなく、優勝や入賞によるキャリアアップも可能です。人脈づくりから海外修行に挑戦できる場合もあり、留学で得た知識や経験が評価されれば、パティシエとして活躍できる機会も増やせるかもしれません。
・転職を視野に入れる
パティシエとして年収を上げるためには、転職を視野に入れることも大切です。パティシエの平均年収は、大手企業や都市部の有名レストランで働く場合に高くなりやすく、好条件の職場を探す場合は転職サイトを利用するのもよいでしょう。製菓衛生師や菓子製造技能士の資格を取得すれば、転職の際に技術力もアピールできます。また、日本のパティシエは世界的に高く評価されており、欧米やアジアの一部地域では高収入で働く日本出身のパティシエも存在するので、海外での経験を年収アップに役立てるのもおすすめです。アルバイトや派遣社員として働いている場合は、正社員への転職も視野に入れてスキルアップを目指すとよいでしょう。
■まとめ
パティシエの年収は、所属企業の規模や年齢などで変化しますが、スキルを磨いてキャリアアップを図ることで給料を上げられる可能性があります。これからパティシエを目指している方は、スキルを効率よく身に付けられる製菓系の専門学校に通うのがおすすめです。日本菓子専門学校では、パティシエになるための製菓基礎を学ぶことができます。オープンキャンパスを定期的に開催しているので、興味のある方はぜひご参加ください。