さあ、9月1日から後期の授業が始まりました。 前期は和菓子・洋菓子共に基礎的な技術を学んできましたが、後期はさらに新しい技術・新しい材料を学んでいきます。
まずはタルト。前期では絞り生地と単純に伸ばすだけのクッキー生地は学びました。 後期はさらにステップアップして型に生地を敷き込み、そこに様々なクリームを詰めて焼き上げる「タルト」も加わってきます。
さらに初めて使う素材「ゼラチン」を使ってオレンジとグレープフルーツのゼリーを作ります。
まだまだ暑いこの時期にはピッタリの製品です。
今回作るタルトは「アマンディーヌ」。クレームダマンド表面にアーモンドスライスを散らして焼き上げたシンプルなタルトです。
タルトは基本的にこの直径18㎝の底が取れるタイプの型を使います。

そして、タルト型にクッキー生地を敷き込む作業をフォンサージュ【仏:fonçage】といいます。生地を均一の厚さに伸ばし、型にかぶせて型に密着するようにおさえるのです。


タルト生地にフォークを使って穴をあけています。 この作業の事をピケ【仏:piquer】と言います。タルト生地やパイ生地を焼く前にフォークなどで小さい穴を開けることです。穴を開けることで焼成時に空気や水蒸気が抜け、生地がふくれ上がるのを防ぐ効果があります。


今回、中に絞るのはタルトによく使われるクレーム・ダマンド【仏:crème d’amande】です。 フランス菓子には欠かせないクリームで、基本的には、バター・砂糖・卵・アーモンドパウダーの4種の材料を同量混ぜ合わせます。そこにコーンスターチやお酒を加えたりもします。



クレームダマンドを絞り、表面にアーモンドスライスを散らして焼きあがったのがこちら。

冷めたらフチに粉糖をかけて完成です。

これを8つに切り分けます。


次は初めてゼラチンを使った製品「オレンジ&グレープフルーツゼリー」です。
まずゼラチンとはどういう物か。どういう種類があるかということ。そしてそれぞれのゼラチンの扱い方を学びます。
ゼラチンはたん白質の一種で、動物の皮や骨や腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え抽出したものです。
種類としては3種類。板ゼラチン・粉ゼラチン・顆粒ゼラチンがあります。 1年生の授業で使うのはほぼ板ゼラチンか粉ゼラチンなので、それらの扱い方を学びます。
洋菓子では、ゼリー・ババロア・ムースなどで使います。その使用量によって、色々な食感になります。噛み応えのあるグミもゼラチンが使われています。
つるんとしたゼリーもぐにぐにのグミも「固さの素はゼラチン」、っていうのも面白いですよね。
他にも凝固剤は色々あるのですが、それはまた別の話...
粉ゼラチン 基本的にはゼラチンの5倍の冷水でふやかします。先に冷水を計っておいてその中に粉ゼラチンを入れるのがポイントです。

板ゼラチン こちらも冷水を使ってふやかします。たっぷりの冷水にくっつかないように1枚ずつ入れていきます。約20分浸けておき、冷水から引き揚げ良く水分を取って使用します。

今回のゼリーはシンプルに2層に分けて流し固めるものです。

下の部分のオレンジゼリーはフレッシュオレンジの果肉を入れて冷やし固めた後、グレープフルーツのゼリーを流し固めるのですが、一部はバットに薄く流し固め、それをさいの目に切ったものを表面に乗せて立体的に飾り、生クリームを絞ってオレンジを飾り完成です。
優しい酸味と果肉が入ったオレンジのゼリーと、ほんのり苦みあるグレープフルーツのゼリーの組み合わせは、まだまだ暑いこの時期にはピッタリのお菓子ですね。
今回の製品、アマンディーヌ

もう1品、オレンジ&グレープフルーツのゼリー

夏休み明け初日から、初めての素材初めてのテクニックと続き、学生たちは疲れ切っていましたが、これからはさらに複雑な仕込み・組み立てのお菓子が出てきます。
大変だけど、さらにお菓子作りが楽しくなってくるので、これからも頑張っていきましょう!!!
toru