パティシエの就職先には、洋菓子店やホテル、レストランなどがありますが、どの就職先が自分に適しているのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、パティシエの主な就職先を紹介します。就職先の選び方や仕事内容も解説しますので、これからパティシエを目指そうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
■パティシエの主な就職先と仕事内容
まずは、パティシエの主な就職先と仕事内容を説明します。
・洋菓子店
洋菓子店は、お店の規模でパティシエの仕事内容が異なります。個人経営のお店やスタッフ数の少ないお店では、生地作りからデコレーションまでの工程を一人で担当するのが一般的ですが、大規模なお店では作業工程を分担するケースが多い傾向にあります。また、洋菓子店のパティシエは接客や販売を担当する場合もあり、お客様の反応を感じながら働きたい方にもおすすめです。大手洋菓子店に就職すると、福利厚生が充実しているだけでなく、研修時にパティシエ以外の業務を経験できる可能性もあるでしょう。ただし、人手が足りていない洋菓子店では業務負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
・カフェ・レストラン
カフェやレストランのパティシエは、デザート作りや接客、調理補助を担当します。皿盛りデザート(アシェットデセール)の技術を磨きたければフレンチレストラン、接客や調理も学びたい場合はカフェを就職先に選ぶのがおすすめです。コース料理のデザートや記念日用のケーキを担当するケースも多く、繊細な技術や高い美的感覚が必要な就職先と言えるでしょう。また、カフェやレストランのパティシエは新作の考案にかかわる可能性もあり、お客様から評価されればより多くの集客も見込めます。
・ホテル
ホテルのパティシエは、生地作りやオーブン、仕上げなどの業務を分担するのが一般的です。イベントが集中する時期に忙しくなりやすく、パーティー用のデザートやウエディングケーキに加えて、販売用のケーキを作る場合もあります。また、ホテルのパティシエはキュイジニエ(料理人)やソムリエ(ワイン専門給仕人)など、パティシエ以外の人脈を広げる機会に恵まれやすく、パンの製造を担当する場合もあることから、専門的な技術を幅広く学びたい方に適した就職先と言えるでしょう。
・食品系の工場
食品系の工場では、新商品の開発や製造部門の仕上げ工程を担当するなど、企業ごとにパティシエの仕事内容が異なります。工場の規模が大きければ、同じ作業を長時間担当する場合もあるので、一定のクオリティで作業に取り組み続けられる方に適していると言えるでしょう。また、食品系の工場は福利厚生が充実しており、勤務時間や休日を調節しやすい点や他の就職先よりも長く働きやすい点もメリットです。工場によっては従業員のマネジメントや生産管理を担当するケースもあり、商品開発で自身が考えたスイーツの全国販売が期待できる場合もあります。
・和洋菓子店
パティシエは、洋菓子だけでなく和菓子についても学んでいれば、和洋菓子店にも就職できます。和洋菓子店のパティシエはお菓子作りを担当するケースが多く、専門学校で習得した技術を生かして働ける点がメリットです。ただし、製造するお菓子の量や種類はお店ごとに異なり、接客や商品の梱包・補充を担当する場合もあります。
・ブーランジュリー
ブーランジェはパン作りを専門とする職種で、生地の仕込みから焼き上げ作業を担当します。ブーランジュリーでも洋菓子を販売するケースがあるため、洋菓子の知識を活かして店舗をプロデュースできます。パンの仕上がりは天候や気温の変化に左右されやすい傾向にありますが、ブーランジェとして働く場合は、同じ材料や配合で仕上がりに差が出ることのないように、技術や知識を磨かなければなりません。
■パティシエの就職先の選び方
ここからは、パティシエの就職先の選び方を解説します。
・働き方を考えよう
<実践を積んで独立したいなら>
パティシエとして独立したい場合は、個人経営のお店でシェフの技術を直接学び、さまざまな規模のお店で実践を積むのがおすすめです。スタッフの人数が少ないお店では幅広い業務を経験でき、オーナーパティシエからお菓子作りの技術を直接指導してもらう機会を作りやすい傾向にあります。一方の大規模なお店では雑用を担当する場合も多く、お菓子作りを担当するまでに時間がかかる点に注意が必要です。
<安定した働き方をしたいなら>
安定した働き方を目指す場合は、大手ホテルや食品メーカーに就職するのがおすすめです。特に、大手企業は新人教育や研修に力を入れている場合も多く、パティシエとして長く働きやすい環境が整えられています。また、充実した福利厚生で勤務体系が比較的安定しているので、安心して仕事を続けられる点もメリットです。
<憧れの人と働きたいなら>
憧れのパティシエと働きたい場合は、就職前の段階から求人情報を定期的に確認しておきましょう。人気のパティシエが在籍するお店は競争率が高い傾向にあるので、アルバイトや研修などを経験して、就職のきっかけ作りに努めなければなりません。また、有名なパティシエの指導を受けられる専門学校があれば、入学を検討するのもおすすめです。
・キャリアアップについて考えよう
パティシエは独立や海外進出も狙える職種ですが、就職後すぐにキャリアアップする可能性は低い傾向にあります。そのため、就職する前から長期的な計画を立てて、キャリアアップについて考えておくことが大切です。明確な目標に適した就職先を選んだうえでさまざまな経験を積み、キャリアアップを目指すのもよいでしょう。
・収入について
就職先選びで迷っている場合は、収入で比較するのもよいでしょう。収入が高ければ独立資金を貯めやすく、海外留学も検討できます。ただし、就職先を収入だけで決めてしまうと、職場環境に不満を感じる可能性があるかもしれません。会社の経営理念や職場の人間関係に違和感を覚えないように、就職先の情報から総合的に判断することが大切です。
・情報収集は入念に
就職先を選ぶ際は、入念な情報収集が必要です。会社の理念や在籍するシェフの経歴、スタッフの声などを調べたうえで就職先を選択することで、就職後の後悔を最小限に抑えられます。また、就職を希望するお店があれば、業務内容を事前に調べ、アルバイトや研修で実際の職場環境を経験しておくのもよいでしょう。また、専門学校に所属していれば、教員から専門的なアドバイスや相談が受けられます。
■パティシエに向いている人の特徴
ここで、パティシエに向いている人の特徴を紹介します。
・お菓子作りとお菓子を愛している
パティシエとして働くためには、お菓子作りを愛する気持ちが何より大切です。有名なパティシエの中にはお菓子に救われた経験をもつ人も多く、「お菓子作りを通して人々を幸せにしたい」という気持ちがきっかけでお菓子作りの道に進むケースもあります。また、パティシエは単にお菓子を作るだけでなく、味や見た目を追求しながら、専門的な技術も身につけなければなりません。お菓子作りとお菓子を愛する気持ちを原動力として、楽しみながら学び続ける姿勢が必要だと言えるでしょう。
・研究が好き
パティシエはお菓子の味や見た目を追求する職業なので、研究が好きな人にも適しています。お客様に喜ばれる商品を作り続けるためには、レシピ通りの仕上がりに満足せず、今よりもおいしく美しいお菓子を目指して、日頃から技術や感性を磨くことが大切です。また、チョコレート細工やあめ細工などの繊細な技術を磨くためには、美的感覚や立体的な構造も研究しなければなりません。食材の配合や温度管理を研究して、お客様の幸せを第一に考えてお菓子作りに取り組むことができれば、パティシエとして成功する可能性も大いにあるのではないでしょうか。
・地道な努力が苦にならない
パティシエとして成長するためには、日々の地道な努力が必要です。お菓子を大量生産する現場は長時間同じ工程をくり返す職場も多く、担当する作業に妥協せず、常に一定のクオリティで作業を進めなければなりません。また、お菓子作りの現場では集中力や忍耐力も必要で、臨機応変な対応や自ら行動する積極性も求められます。日々の小さな変化を逃さず、一つひとつ乗り越えられる探究心も磨く必要があるでしょう。
・健康管理ができる
パティシエは体力が必要な職種なので、健康管理ができる人が向いています。職場の仲間に負担がかからないよう、普段から体のケアに努めることが大切です。また、パティシエは立ちっぱなしで作業を進めるのが一般的で、重い食材を運ぶ機会も多い傾向にあるので、以下の方法を実践して足腰の負担を予防するのもよいでしょう。
- 作業台を適切な高さに調節する
- こまめなストレッチを心がける
- 腰回りを温める
- 腰回りの筋肉を鍛える
・新しいことにチャレンジしたい
パティシエとして新作スイーツや商品開発を担当する場合は、新しいことへのチャレンジ精神も必要です。お菓子でお客様を感動させるためには、さまざまなお菓子と触れあいながら新たなアイデアを模索し続け、お菓子のデザインや味を追求しなければなりません。また、自然や絵画に触れる機会を増やすことで、発想力や感性も磨かれるでしょう。日頃からトレンドや流行をおさえて、新たなお菓子のジャンルを開拓するのもおすすめです。
■まとめ
パティシエの就職先はさまざまなので、専門学校で技術を習得して、選択できる就職先の種類を増やしておくことが大切です。日本菓子専門学校のオープンキャンパスでは、「体験コース」「授業参加コース」「ガイダンスコース」をご用意しております。複数のコースが受講できる日程もありますので、将来パティシエを目指している方は、日本菓子専門学校の公式サイトをぜひご確認ください。