さいとう製菓×日本菓子専門学校 Special対談
全国菓子工業組合連合会理事長であり日本菓子専門学校の理事も務める、”かもめの玉子”でも有名な「さいとう製菓」の取締役会長である齊藤俊明先生へ、
和菓子科在校生が会社のことやお菓子づくりのことについてインタビューさせていただきました!
 
能代:製菓技術学科2年 和菓子科の能代です。よろしくお願いいたします。
齊藤:さいとう製菓の齊藤です。よろしくお願いいたします。

 
齊藤:私は3代目で息子が4代目なのですが私まではお菓子についてはド素人で父親は鉄鋼業でした。そこでお菓子屋をなぜやったかは色々あるけど零細企業から大きな企業にまで成長したのはかもめの玉子、これ以外にありません。和洋菓子もやっているけど当時それは赤字でした。
 
能代:お菓子づくりの魅力について教えていただいてよろしいでしょうか
 
齊藤:お菓子の素晴らしいところは見た目が綺麗ということ。夢のある商売だなと思います。
製菓業界はものづくりが好きな人にとっては素晴らしい仕事で、想像力あれば自分の世界をいくらでも展開できるという点も魅力なのではないのでしょうか。
 
能代:私も和菓子を専攻しているのですが練切とかを見て綺麗だなといつも思います!
 
齊藤:練切細工は本当の花のように綺麗ですよね。それを表現できるから人間の技術は素晴らしいとつくづくそう感じます。僕は自然界では花の色が本当に綺麗だなと思っていて、何故あんなに綺麗な色になるのだろう、どの花にもそれぞれの色があり二つとない。
それをお菓子では写実的に表現できるということ、これも素晴らしい、惚れ惚れする。
お菓子屋さんというのは作る楽しみとお客様を喜ばせる楽しみがあり素晴らしい仕事だと私は思います。自信を持ってください! 
 
齊藤:素人だったので正直辛いことや苦しいことの方が多かったです。
でも一人前のお菓子が作れるようになったときは技術が伸びたな、良かったなと思いました。お客様に喜んでもらった、「美味しかったよ」「心が癒されたよ」と言ってもらえた。
こんな風に満足頂くのは一番嬉しいよね。
 
能代:ありがとうございます。逆に辛かったときや苦しいときはどう乗り越えて来られましたか?
 
齊藤:人生の中で最大のピンチは津波を受けた時です。それを2回も。
1度目は昭和35年のチリ地震。2度目は平成23年の東日本大震災。このときの巨大津波はあっという間に町がなくなり、地獄の惨状でした。
すべてが終わったなと、ただ唖然とするだけ。こんなことってあるんだなと夢にも思ったことがない状況。これからどう食べていくか考えるしかなかった。だから仕事のことは一切考えられませんでした。

ただ、さいとう製菓は大船渡(岩手)で一番に立ち上がったんですよ。
 
きっかけは、全国からかもめの玉子を知っている方や食べたことある人から毎日30~40通のお見舞いやら励ましの手紙が届いたことです。加えて見舞金とか救援物資とかもどんどん届きました。こんな全国のお客様に支えられて今までやってきたのだなとすごく感激したわけ。
 
こんなに応援してくれるお客様に心配をかけていられない、恩返しするには仕事をするのが一番だ。落ち込んでいられない、頑張るしかない。と背中を叩いていただいた。
それでどん底から這い上がれました。
 
お客様というのは商品を買っていただくだけではなく見舞いをくれたり励ましてくれたりして心の支えとなってくれる。そういうことが人生の嬉しさっていうのかな。そういう風に感じて今に至っています。

イラストもいろいろあってね「大好き大好きかもめの玉子」とか若い人からもいただいた。
そういうことでいえばお客様というのは買ってくれるだけでなく支えてくれる。
感謝、感謝。命の恩人です。
 
能代:私もお客様を大切にして頑張りたいです。
 
 
齊藤:製菓学校はやはり和洋パンの技術を習得するために入っていると思いますがその先も考えて欲しいです。どこかに勤めても会社を経営していても仕事というのはお菓子を通してお客様に満足、幸せ、安らぎを届けるということですが、ただそれだけに満足していれば経営は成り立つかといえばそういうわけではありません。
やっぱり損得勘定。技術中心だといくら売れたかもわからない、いくら経費がかかって、いくら利益が出たかを分からなければ勤めていても経営していても先に進んでいくのは難しいと感じます。
利益を出さなきゃいけないということに後ろめたさはあるかもしれないが、楽しみにしてくれているお客様に継続してその満足と幸せを届け続けるには「コスト」を考え、利益を出していかなければならない。また、赤字を出し続ければ辞めるしかありません。
もちろん「利益」「利益」と、それだけ考えるのでは駄目だけど、お客様に愛され親しまれ、満足と喜びを与えて、その結果が利益だよと感じて欲しい。

それをただ働いていれば出来るようになるかといえば、そういう訳ではないので、材料原価はいくら、人件費はいくら、固定費か変動費か、そういうのをきちっと頭に入れながら仕事をすることが大切です。
それを学校でも学んでいると思うので、それをお菓子の技術を学ぶのと同等の意識で学んでください。
 
そういうの得意ではないし嫌いな人も多いけれど、やっていかなければならない。
私も数字は苦手だったけどやれば好きになってくるし、やらなければならないという使命感になる。逃げてはいけない。やるしかない!これからも頑張ってください。
 
能代:大変参考になりました。ありがとうございました!
 
-------------------------------------------------------
日本菓子専門学校 理事
齊藤俊明

-profile-
昭和8年齊藤餅店として岩手県大船渡市で創業。
昭和35年岩手県立盛高等学校(現岩手県立大船渡高等学校)卒業後、同年齊藤菓子店入店。昭和27年、「鴎の玉子」を発売開始後、独自の発想、技術開発、広告戦略等、様々なアイディアを駆使し、いまや東北を代表する銘菓に「かもめの玉子」を育てる。昭和59年9月より「さいとう製菓株式会社」、平成5年11月より「株式会社鴎の玉子」、平成13年4月より「株式会社東京玉子本舗」代表取締役社長に就任。現在は取締役会長。その他に全国菓子工業組合連合会理事長、岩手県食品衛生協会会長、前大船渡商工会議所会頭など要職を多数努め、令和3年秋の叙勲で旭日中綬章を受章。
和菓子科在校生が会社のことやお菓子づくりのことについてインタビューさせていただきました!
さいとう製菓×日本菓子専門学校
Special対談
 能代:製菓技術学科2年 和菓子科の能代です。よろしくお願いいたします。
齊藤:さいとう製菓の齊藤です。よろしくお願いいたします。

お菓子づくりは夢のある素晴らしい仕事
 
能代:さいとう製菓さんはとても有名な会社ですがどのようにここまで大きくなられたのでしょうか。齊藤:私は3代目で息子が4代目なのですが私まではお菓子についてはド素人で父親は鉄鋼業でした。そこでお菓子屋をなぜやったかは色々あるけど零細企業から大きな企業にまで成長したのはかもめの玉子、これ以外にありません。和洋菓子もやっているけど当時それは赤字でした。
能代:お菓子づくりの魅力について教えていただいてよろしいでしょうか
齊藤:お菓子の素晴らしいところは見た目が綺麗ということ。夢のある商売だなと思います。
製菓業界はものづくりが好きな人にとっては素晴らしい仕事で、想像力あれば自分の世界をいくらでも展開できるという点も魅力なのではないのでしょうか。
能代:私も和菓子を専攻しているのですが練切とかを見て綺麗だなといつも思います!
齊藤:練切細工は本当の花のように綺麗ですよね。それを表現できるから人間の技術は素晴らしいとつくづくそう感じます。僕は自然界では花の色が本当に綺麗だなと思っていて、何故あんなに綺麗な色になるのだろう、どの花にもそれぞれの色があり二つとない。
それをお菓子では写実的に表現できるということ、これも素晴らしい、惚れ惚れする。
お菓子屋さんというのは作る楽しみとお客様を喜ばせる楽しみがあり素晴らしい仕事だと私は思います。自信を持ってください!

お客様は命の恩人
 
能代:この仕事をしていて嬉しかったことは何ですか?齊藤:素人だったので正直辛いことや苦しいことの方が多かったです。
でも一人前のお菓子が作れるようになったときは技術が伸びたな、良かったなと思いました。お客様に喜んでもらった、「美味しかったよ」「心が癒されたよ」と言ってもらえた。
こんな風に満足頂くのは一番嬉しいよね。
能代:ありがとうございます。逆に辛かったときや苦しいときはどう乗り越えて来られましたか?
齊藤:人生の中で最大のピンチは津波を受けた時です。それを2回も。
1度目は昭和35年のチリ地震。2度目は平成23年の東日本大震災。このときの巨大津波はあっという間に町がなくなり、地獄の惨状でした。
すべてが終わったなと、ただ唖然とするだけ。こんなことってあるんだなと夢にも思ったことがない状況。これからどう食べていくか考えるしかなかった。だから仕事のことは一切考えられませんでした。

ただ、さいとう製菓は大船渡(岩手)で一番に立ち上がったんですよ。
きっかけは、全国からかもめの玉子を知っている方や食べたことある人から毎日30~40通のお見舞いやら励ましの手紙が届いたことです。加えて見舞金とか救援物資とかもどんどん届きました。こんな全国のお客様に支えられて今までやってきたのだなとすごく感激したわけ。
こんなに応援してくれるお客様に心配をかけていられない、恩返しするには仕事をするのが一番だ。落ち込んでいられない、頑張るしかない。と背中を叩いていただいた。
それでどん底から這い上がれました。
お客様というのは商品を買っていただくだけではなく見舞いをくれたり励ましてくれたりして心の支えとなってくれる。そういうことが人生の嬉しさっていうのかな。そういう風に感じて今に至っています。

イラストもいろいろあってね「大好き大好きかもめの玉子」とか若い人からもいただいた。
そういうことでいえばお客様というのは買ってくれるだけでなく支えてくれる。
感謝、感謝。命の恩人です。
能代:私もお客様を大切にして頑張りたいです。
嫌な事、苦手なことから逃げずに頑張って欲しい
 
能代:最後の質問になりますが、学生時代にやっておいた方がいいことはありますか?齊藤:製菓学校はやはり和洋パンの技術を習得するために入っていると思いますがその先も考えて欲しいです。どこかに勤めても会社を経営していても仕事というのはお菓子を通してお客様に満足、幸せ、安らぎを届けるということですが、ただそれだけに満足していれば経営は成り立つかといえばそういうわけではありません。
やっぱり損得勘定。技術中心だといくら売れたかもわからない、いくら経費がかかって、いくら利益が出たかを分からなければ勤めていても経営していても先に進んでいくのは難しいと感じます。
利益を出さなきゃいけないということに後ろめたさはあるかもしれないが、楽しみにしてくれているお客様に継続してその満足と幸せを届け続けるには「コスト」を考え、利益を出していかなければならない。また、赤字を出し続ければ辞めるしかありません。
もちろん「利益」「利益」と、それだけ考えるのでは駄目だけど、お客様に愛され親しまれ、満足と喜びを与えて、その結果が利益だよと感じて欲しい。

それをただ働いていれば出来るようになるかといえば、そういう訳ではないので、材料原価はいくら、人件費はいくら、固定費か変動費か、そういうのをきちっと頭に入れながら仕事をすることが大切です。
それを学校でも学んでいると思うので、それをお菓子の技術を学ぶのと同等の意識で学んでください。
そういうの得意ではないし嫌いな人も多いけれど、やっていかなければならない。
私も数字は苦手だったけどやれば好きになってくるし、やらなければならないという使命感になる。逃げてはいけない。やるしかない!これからも頑張ってください。
能代:大変参考になりました。ありがとうございました!
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日本菓子専門学校 理事
齊藤俊明

-profile-
昭和8年齊藤餅店として岩手県大船渡市で創業。
昭和35年岩手県立盛高等学校(現岩手県立大船渡高等学校)卒業後、同年齊藤菓子店入店。昭和27年、「鴎の玉子」を発売開始後、独自の発想、技術開発、広告戦略等、様々なアイディアを駆使し、いまや東北を代表する銘菓に「かもめの玉子」を育てる。昭和59年9月より「さいとう製菓株式会社」、平成5年11月より「株式会社鴎の玉子」、平成13年4月より「株式会社東京玉子本舗」代表取締役社長に就任。現在は取締役会長。その他に全国菓子工業組合連合会理事長、岩手県食品衛生協会会長、前大船渡商工会議所会頭など要職を多数努め、令和3年秋の叙勲で旭日中綬章を受章。
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